地震保険はいくら?
「払う額」と「もらえる額」を分けて考える

2026年9月

「地震保険 いくら」で調べて、金額がばらばらだと感じていないだろうか。
自分がいくら払うのかが、いつまでも見えてこない。

原因は、「いくら」に2つの意味があることだ。
払う保険料と、もらえる保険金。
この2つが混ざって説明されるので、自分の話に思えなくなる。

この記事では、その2つを最初から分けて書いた。
保険料が全社同じ理由と、金額を決める2つの条件も載せている。
読めば、自分の金額を自分で出せるようになる。

結論から言うと、金額だけを見て決めると後悔しやすい。
まずは証券を1枚探すところから始めたい。

テーブルの上に置かれた書類の束と電卓、コーヒーカップ

「いくら」には、2つの意味がある

地震保険の金額を調べている人は、2種類に分かれる。

同じ「地震保険 いくら」で検索しても、知りたいことは正反対になる。
だから、調べても自分の答えが出てこない。

先に事実だけ書いておく。
払う方はどの保険会社でも同じ。もらう方はかけた額の全部は出ない

保険料は、どの保険会社でも1円も変わらない

地震保険は、国と保険会社が一緒に運営している制度だ。
だから保険料も補償内容も、法律にもとづいて全社共通になっている。

A社で見積もっても、B社で見積もっても、地震保険の部分の金額は同じになる。
「安い地震保険を探す」という行動自体に意味がない。

比べる価値があるのは、セットで入る火災保険のほうだけだ。
くわしくは地震保険はどこがいい? 答えは「どこで入っても同じ」に書いた。

では、何で決まるのか。2つだけ

保険料を決めているのは、次の2つだけになる。

① 建物の場所 都道府県で決まる × ② 建物の構造 木造かどうか この2つで「料率」が決まる 料率 × 保険金額 × 割引 × 契約年数 保険会社によって変わる部分は、ひとつもない。
建物の場所と構造が決まった時点で、保険料はほぼ決まっている。

構造は大きく2つに分けられる。
鉄骨やコンクリートの建物か、木造の建物かで料率が変わる。

木造のほうが地震で壊れやすいと考えられている。
だから同じ地域でも、木造のほうが保険料は高くなる。

実際の金額の幅を、先に見せておく

「自分で調べて」だけでは不親切なので、公式の料率を載せる。
保険金額1,000万円あたり、1年分の保険料だ。

地域の例イ構造(鉄骨など)ロ構造(木造など)
最も安い県のグループ7,300円11,200円
茨城県23,000円41,100円
埼玉県26,500円41,100円
東京・神奈川・千葉・静岡27,500円41,100円

月に直すと、およそ600円〜3,400円の幅になる。
この差が、住んでいる場所と建物の構造だけで生まれる。

2022年10月改定の料率で、2026年8月に財務省のページで確認した。
改定されることがあるので、契約前には最新の表を見てほしい。

計算のしかた(例つき)

計算は掛け算1回で済む。

1,000万円あたりの料率 × 保険金額の割合 ×(1 − 割引率)

例えば、東京の鉄骨マンションで家財に500万円かける場合。
27,500円の半分で、年13,750円になる。

建築年割引(10%)が付けば、年12,375円まで下がる。

他の人がいくら払っているかは、参考にならない

「みんないくら払っているのか」を知りたくなる気持ちは分かる。
でも、この保険にかぎっては比べても役に立たない。

地震のリスクが高い地域と低い地域では、料率が数倍違う。
同じ補償でも、住む場所が違えば金額は別物になる。

知恵袋で「うちは年◯円です」という答えを見ても、
その人と自分の県も構造も違えば、比べる意味がない。

比べるなら、他人とではなく自分の契約の中身と比べる。
割引を申告し忘れていないか、保険金額が今の家財に合っているか。

そこを見直したほうが、金額は確実に動く。

自分の金額を知る、3つの方法

① すでに入っている人は、証券を見る

保険証券に「地震保険料」として金額が書いてある。
火災保険料と合算になっている場合は、内訳の欄を探す。

証券が見つからない場合は、保険会社に電話すれば教えてもらえる。

② これから入る人は、見積もりを取る

保険会社のサイトで見積もりができる。
地震保険の部分はどこで取っても同じ額なので、1社で十分だ。

必要なのは、建物の住所・構造・建てた年・保険金額の4つになる。

③ 制度そのものを見る

財務省と日本損害保険協会が、料率の表を公開している。
自分の都道府県と構造の欄を見れば、目安が分かる。

安くする方法は、値切ることではない

全社同じなので、交渉して安くすることはできない。
代わりに、条件を申告して割引を受ける方法がある。

割引は4種類。ただし1つしか使えない

この4つは重ねて使えない。一番大きい1つだけが適用される。
免震か耐震等級3なら、保険料は半額になる。

該当するのに申告していないと、高いまま払い続けることになる。
証明する書類が必要なので、心当たりがあれば保険会社に聞くのが早い。

長くまとめて契約すると、少し安くなる

地震保険は最長5年までまとめて契約できる。
まとめて払うと、1年ずつ更新するより総額が下がる。

ただし、まとまったお金が一度に出ていく。
家計の余裕と相談して決める話になる。

払った保険料は、税金でも戻ってくる

地震保険料は、年末調整や確定申告で控除の対象になる。
紙を1枚出すだけで、毎年いくらか戻ってくる。

ここは知らないまま損している人が多い部分だ。
くわしくは地震保険の年末調整。いくら戻るか、何を出すかに書いた。

ここから「もらう方」の話になる

ここまでが払う方の話だった。
次は、被害が出たときにいくら受け取れるかを書く。

かけた金額が、そのまま出るわけではない

地震保険には、2つの制限がある。

4段階は、全損が100%、大半損が60%、小半損が30%、一部損が5%になる。
どれにも当たらなければ、支払いはゼロだ。

つまり、1,000万円かけていても、1,000万円もらえるとは限らない。
1,000万円は、あくまで上限の数字になる。

実額で言うと、全損なら1,000万円、一部損なら50万円だ。
区分の間の金額は出ない。

くわしくはこちら

もらえる額の仕組みは、図を使って別の記事にまとめている。
地震保険は必要か。「いらない」と言われる理由を正直に書く

家財にいくらかけるかを決める、3つの手順

幅が30〜50%と言われても、決め方が分からないと思う。
手順にすると3つになる。

  1. 家財を買い直す総額を、ざっくり出す
  2. 火災保険の家財の保険金額を、その総額に合わせる
  3. 地震保険は、その30〜50%のどちらに寄せるか決める

3で迷ったら、考え方はこうなる。
保険料を抑えたいなら30%側、手元に残る額を増やしたいなら50%側だ。

金額の実感(家財250万円分の例)

家財の地震保険を250万円にした場合の保険料を出してみる。
1,000万円あたりの料率の、0.25倍になる。

月数百円の桁に収まることが多い、というのが実感になる。
建物に掛ける場合は、ここに建物の分が乗っていく。

保険料が変わる、3つのタイミング

一度決めた保険料も、ずっと同じではない。
変わるきっかけは主に3つある。

特に3つ目は、忘れられやすい。
耐震改修をしたのに、割引の申告をしていない家がある。

工事の証明書があれば、割引は途中からでも申請できる。
リフォームをした人は、保険会社に一度聞く価値がある。

保険料を下げたい時の、見直す順番

下げる余地は、たいてい次の順で見つかる。
上から順に確認すると早い。

  1. 割引の申告漏れ(該当するのに出していない人が一番多い)
  2. 長期契約への切り替え(まとめて払える余裕があれば)
  3. 保険金額の設定の見直し(家財が今の暮らしに合っているか)
  4. 火災保険側の見直し(水災の要否・免責金額)

4だけは地震保険ではなく、セットの火災保険の話になる。
ただ、合計の払いを下げる効き目は一番大きいことが多い。

保険金額は、30〜50%のどこに置くか

幅の中のどこを選ぶかで、保険料ともらえる上限の両方が動く。
下限に寄せれば安く、上限に寄せれば手元に残る額が増える。

家財の分は、持っている物の総額から考えるのが実際的だ。
家電の合計の出し方は家電の記事に書いた。

よくある疑問に、先に答えておく

目安の金額を、なぜ書かないのか

この記事には「年◯円くらい」という数字を書いていない。
意図的にそうしている。

地震保険の料率は、数年おきに見直される。
古い数字を載せると、その数字が独り歩きしてしまう。

今の正確な数字は、財務省と日本損害保険協会の表で見られる。
自分の県と構造の欄だけ見れば、1分で済む。

建物だけ・家財だけでも入れるのか

入れる。両方にかけることも、片方だけにかけることもできる。

賃貸の人は、そもそも建物にはかけられない。
家財だけの契約になる(賃貸の記事にまとめた)。

保険料は、この先も同じ金額なのか

契約している期間の分は、途中で変わらない。
変わるとしたら、更新のタイミングになる。

料率の見直しでは、上がる地域も下がる地域もある。
長期契約には、その間の改定の影響を受けにくい面もある。

引っ越したら、どうなるのか

保険料は住所で決まるので、引っ越せば金額も変わる。
住所変更の手続きを忘れると、いざという時の判定にも響く。

金額だけを見て決めると、たいてい後悔する

保険料が高いか安いかは、金額そのものでは決まらない。
その金額を毎年払い続けられるか、で決まる。

そして、もらえる額は家を建て直せるほどにはならない。
それを知ったうえで、それでも要るかどうかを決めることになる。

この記事は「入りましょう」とも「やめましょう」とも書かない。
ただ、自分の金額を知らないままでは、決めようがない。

証券を1枚探すところからでいい。
そこに書いてある数字が、判断の出発点になる。

このサイトについて

「モノレキ」という名前で、家にある物の買い替え時期と保険を1画面で見るアプリを作っている。

保険証券は写真で残しておける。
探し回らずに、契約内容と連絡先をその場で開けるようにした。

公開は2026年12月を予定している。まだ完成していない。

出典

制度・割引率・支払区分について。
財務省「地震保険制度の概要」

都道府県別・構造別の基本料率(2022年10月改定)について。
財務省「地震保険の基本料率」

本文の数字は2026年8月23日に上記ページで確認した。
改定されることがあるため、契約前には最新の情報を見てほしい。

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