地震保険の年末調整。
いくら戻るか、何を出すか
11月に配られる保険料控除申告書、書き方を毎年忘れていないだろうか。
去年も書いたはずなのに、思い出せないのが普通だ。
1年に1回しかやらない手続きなので、忘れて当然になる。
そのうえ、火災保険も対象だと思い込んでいる人が多い。
2007年に制度が変わり、いまは地震保険の分だけが残っている。
この記事では、地震保険の欄の書き方だけを扱う。
戻る金額の早見表と、証明書をなくした時の対処も入れた。
読めば、今年は迷わずに書き終えられる。
戻るのは年に数千円だが、出さなければ毎年消えていく。
出し忘れた年も、5年さかのぼって取り戻せる。
毎年やっているのに、毎年思い出せない
11月ごろ、会社から紙を配られる。
「給与所得者の保険料控除申告書」という長い名前の紙だ。
手元にあるのは、その紙と保険会社から届いたハガキだけ。
どこに何を書き写すのかは、毎年ここで止まる。
火災保険は対象にならない。地震保険だけ
ここが一番多い勘違いになる。
火災保険料は、控除の対象にならない。
控除できるのは、そのうちの地震保険の部分だけだ。
昔は火災保険も対象だった。
だが2007年に制度が変わり、地震保険だけが残った。
火災保険と地震保険をセットで払っている人は多い。
その中から地震保険の分だけを書くことになる。
金額は自分で計算しなくていい。
次に説明する「控除証明書」に、その数字が書いてある。
いくら戻るのか
先に、大事な仕組みを1つ。
控除は「税金がその額だけ安くなる」ものではない。
税金を計算する前の所得から、引けるというものだ。
だから、実際に戻る額は控除額よりずっと小さくなる。
戻る金額の早見表
所得税率10%の人を例にすると、次のようになる。
| 年間の地震保険料 | 戻る金額の目安 |
|---|---|
| 10,000円 | 約1,500円 |
| 20,000円 | 約3,000円 |
| 30,000円 | 約4,500円 |
| 40,000円 | 約6,000円 |
| 50,000円以上 | 約7,500円 |
控除には上限がある。所得税は5万円、住民税は2万5千円までだ。
だから保険料が5万円を超えても、戻る額はそこで止まる。
年に数千円。大きな金額ではない。
ただ、紙を1枚出すだけで、入っている間は毎年続く。
控除額の正確なルール
早見表のもとになっている計算式も書いておく。
国税庁の規定そのままだ。
所得税の分
年間の支払保険料が5万円以下なら、その全額が控除になる。
5万円を超えたら、一律5万円で止まる。
住民税の分
支払保険料の半分が控除になり、上限は2万5千円になる。
旧長期損害保険料がある人
こちらの計算は3段階になる。
- 1万円以下: 全額
- 1万円超〜2万円以下: 半分+5千円
- 2万円超: 1万5千円
地震保険の分と両方ある場合は、合計して最高5万円までになる。
実額の計算例
年間の地震保険料が3万円、所得税率10%の人の場合。
住民税の税率は原則10%なので、こう計算できる。
- 所得税: 控除3万円 × 10% = 3,000円戻る
- 住民税: 控除1万5千円 × 10% = 1,500円下がる
合わせて年4,500円になる。10年入っていれば4万5千円だ。
やることは、毎年ハガキ1枚を出すだけになる。
住民税の分は、その場では戻ってこない
ここも誤解しやすい。
年末調整で口座に振り込まれるのは、所得税の分だけになる。
住民税は、翌年度に払う税額が下がるという形で効いてくる。
だから「思ったより少ない」と感じることがある。
減った分は、翌年の給与明細に静かに現れる。
必要なのは「控除証明書」1枚だけ
10月ごろ、保険会社からハガキか封書が届く。
「地震保険料控除証明書」と書かれた紙が入っている。
そこに書かれた金額を申告書に書き写し、証明書を貼って出す。
それだけで終わる。
写真やコピーでは受け付けてもらえない。原本が必要になる。
届いたら、年末調整が終わるまで捨てないでほしい。
見当たらないとき
保険会社に電話すれば再発行してもらえる。
ネットで手続きできる会社もある。
ただし再発行には日数がかかる。
会社の締切に間に合わないなら、次の章の方法で取り戻せる。
長期の契約は、初年度しか届かないことがある
5年契約などでまとめて払った場合、証明書が最初の年だけのことがある。
2年目以降は届かないので「なくした」と勘違いしやすい。
この場合も、保険会社に言えば発行してもらえる。
申告書の、どこに何を書くか
会社で配られる「給与所得者の保険料控除申告書」を開く。
右側に「地震保険料控除」という枠がある。
書き写すのは、控除証明書にある次の3つだけだ。
- 保険会社の名前
- 保険の種類(地震か、旧長期か)
- 申告に使う金額(証明書に「申告額」などの名前で書いてある)
書式は保険会社ごとに少し違う。
ただ、申告に使う金額の欄は必ずあるので、それを探せばいい。
よくあるつまずきは、3つ
- 火災保険料まで書いてしまう(対象は地震保険の分だけ)
- まとめ払いの総額を書いてしまう(1年分に割った額を書く)
- 「地震」と「旧長期」の区分を逆に付けてしまう
どれも、控除証明書の数字をそのまま写せば起きない。
自分で計算し直そうとした時に、間違いが入り込む。
転職した年・年の途中で入った年は
転職した年は、いまの会社の年末調整でまとめて申告する。
前の会社の分は、源泉徴収票を出せば合算される。
年の途中で地震保険に入った場合は、その年に払った分だけが対象だ。
翌年からは、まるごと1年分になる。
5年分まとめて払った人は、割り算する
長期契約でまとめて払った人は、払った総額をそのまま書かない。
= その年の控除の対象になる額
5年分を一度に払っても、控除できるのは1年分ずつになる。
この金額も控除証明書に書いてあるので、自分で計算しなくていい。
古い契約は、別枠になることがある
2006年12月末までに契約した長期の損害保険には、別の枠が残っている。
「旧長期損害保険料控除」と呼ばれるものだ。
条件は3つある。
- 2006年12月31日までに契約した
- 保険期間が10年以上ある
- 満期返戻金がある
これに当たる人は、地震保険とは別の欄に書くことになる。
控除できる上限も違うので、申告書の欄をよく見てほしい。
心当たりがなければ、気にしなくていい。
該当する場合は、控除証明書にその旨が書かれている。
出し忘れても、5年間は取り戻せる
証明書が間に合わなかった。書くのを忘れた。
そういう年があっても、あきらめなくていい。
確定申告をすれば、あとから戻してもらえる。
この手続きは5年前までさかのぼれる。
やり方は、確定申告書に控除の欄を書いて証明書を付けるだけだ。
年末調整でやることと、中身は変わらない。
11月の実際の流れを、最初から最後まで
会社員の場合、全体はこう流れる。
やることは2つだけで、あとは待つだけになる。
- 10月ごろ、保険会社から控除証明書が届く
- 捨てずに置いておく(ここが一番の山場)
- 11月、会社から保険料控除申告書が配られる
- 地震保険の欄に、証明書の金額を書き写す
- 証明書を添えて、会社に出す
- 12月の給与で、所得税の分が戻る
戻った額は、12月の給与明細に載る。
載る欄の名前は会社によって違うが、「年末調整」などの行を探せばいい。
住民税の分は、翌年6月からの天引き額が少し下がる形で効く。
こちらは振り込まれないので、気づかない人が多い。
確定申告をする年は、そちらに書く
会社員でも、確定申告をする年がある。
住宅ローン控除の1年目や、医療費控除を受ける年だ。
その年も、地震保険の控除は年末調整で済ませていい。
年末調整で申告済みなら、確定申告に書き直す必要はない。
逆に、年末調整で出しそびれた場合は、確定申告に書けば拾える。
証明書を添えるだけで、手間はほとんど変わらない。
どちらでも受けられる、と覚えておけば慌てずに済む。
二重には受けられないので、どちらか片方に書く。
よくある疑問に、先に答えておく
賃貸でも控除できるのか
できる。家財にかけた地震保険も、控除の対象になる。
持ち家かどうかは関係ない。
ただし、賃貸の保険には地震保険が付いていない契約も多い。
秋に証明書が届かないなら、付いていない可能性がある。
夫婦のどちらが申告するのか
原則は、保険料を実際に払っている人が申告する。
契約の名義よりも、誰が払ったかで考える。
迷ったら、口座から引き落とされている人で考えると分かりやすい。
生命保険の控除で枠を使い切っていたら?
心配いらない。地震保険料控除は、生命保険料控除とは別の枠だ。
生命保険をいくら申告していても、影響しない。
自営業・フリーランスの場合は
年末調整がないので、確定申告で同じ控除を受ける。
申告書の「地震保険料控除」の欄に書き、証明書を付ける。
共済に入っている場合は
控除の対象になる共済と、ならない共済がある。
見分け方は同じで、秋に控除証明書が届くかどうかになる。
紙を1枚探すだけの話でしかない
戻ってくるのは年に数千円。それで生活が変わるわけではない。
ただ、この手続きをしないと、その数千円は毎年消えていく。
10年入っていれば、それなりの額になる。
10月に届く紙を、捨てないでおく。
まずはそれだけで足りる。
「モノレキ」という名前で、家にある物の買い替え時期と保険を1画面で見るアプリを作っている。
控除証明書は原本が必要なので、写真では代わりにならない。
ただ保険証券のほうは、写真で残しておくと連絡先をすぐ開ける。
公開は2026年12月を予定している。まだ完成していない。
控除額の計算・上限、旧長期損害保険料控除について。
国税庁「No.1145 地震保険料控除」
本文の数字は2026年8月23日に上記ページで確認した。
制度は変わることがあるため、申告前に最新の情報を見てほしい。
還付申告ができる期間について。
国税庁「No.2030 還付申告」