地震保険はどこがいい?
答えは「どこで入っても同じ」
地震保険のランキングを、いくつも見比べていないだろうか。
どれも似た内容で、決め手が見つからないままになる。
理由は、探し方が悪いからではない。
地震保険は、保険料も補償も法律で全社同じと決まっている。
差がないものを比べているので、決め手が出てこない。
この記事では、全社同一である根拠を制度から確かめる。
そのうえで、本当に違う3つの点だけを書いた。
読めば、比較に使っていた時間をまるごと節約できる。
結論は「探すのをやめていい」になる。
その時間は、セットで入る火災保険の中身を読むほうに回したい。
ランキングを探すのは、当たり前の行動だ
保険に入るとき、まず比較サイトを見る。
安いところ、評判のいいところを探す。それが普通の手順だ。
自動車保険も生命保険も、会社によって金額がまるで違う。
だから地震保険も同じだと思って探す。当然のことだと思う。
ただ、地震保険にかぎっては、その探し方が効かない。
保険料も補償も、法律で決まっている
地震保険は、国と保険会社が一緒に運営している制度だ。
大きな地震が起きたとき、1社では払いきれないからだ。
そのため保険料も補償の中身も、法律にもとづいて全社共通になっている。
同じ場所・同じ建物・同じ保険金額なら、どの会社で入っても1円も変わらない。
「地震保険が安い会社」は、存在しない。
では、ランキング記事は何を比べているのか
地震保険は火災保険とセットでしか入れない。
だから「地震保険ランキング」の中身は、実際には火災保険の比較になっている。
それ自体が嘘というわけではない。火災保険には差があるからだ。
ただ、地震保険の部分を比べているわけではない。
本当に違うのは、3つだけ
① セットで入る火災保険の中身
ここは会社によって大きく違う。
水災を付けるか、破損汚損を付けるかで、保険料も補償も変わる。
比べるなら、ここを比べることになる。
② 事故が起きたあとの対応
電話がつながるか、調査に来るのが早いか、説明が分かりやすいか。
被災した時にいちばん効いてくるのは、実はこの部分だ。
ただし、数字で比べられない。
口コミもばらつきが大きく、あてになりにくい。
③ 手続きのしやすさ
ネットで完結するか、代理店の担当者が付くか。
これは好みの問題になる。
迷ったときに相談できる人が欲しいなら、代理店のほうが向いている。
共済は「地震保険」ではない。別の制度だ
県民共済やJA共済にも、地震のときの保障がある。
ただしそれは、ここまで書いてきた地震保険とは別の制度になる。
共済は、それぞれの団体が自分たちで設計している。
だから掛金も保障の額も、共済ごとに違う。
一般に、共済の地震の保障は、地震保険より受け取れる額が小さいことが多い。
そのぶん掛金も安い、という組み立てになっている。
どちらが良い悪いではない。仕組みが違うので、同じ土俵に乗らない。
だから「地震保険と県民共済、どっちが得か」は比べにくい。
比べるなら、受け取れる額と掛金の両方を並べる必要がある。
税金の控除も、商品によって変わる
地震保険料控除の対象になる共済と、ならない共済がある。
見分け方は簡単で、秋に控除証明書が届くかどうかで分かる。
届かないなら、その掛金は控除の対象になっていない。
すでに入っている人が、先に見るべきところ
乗り換えを考える前に、今の契約を確認したほうが早い。
動く金額が大きいのは、たいていこの2つだ。
- 割引の申告漏れ(耐震等級・建築年など。該当するのに出していない人が多い)
- 保険金額が今の家財に合っているか(子どもが独立した、家電を買い替えた)
会社を変えても地震保険の額は変わらない。
でもこの2つを直せば、実際に変わる。
「全社同じ」の根拠を、制度からたしかめる
言い切るからには、根拠も書いておく。
地震保険は1966年にできた、法律にもとづく官民共同の制度だ。
大地震の支払いは巨額になるため、国が再保険という形で後ろに立つ。
保険料のもとになる料率は、損害保険料率算出機構が算出している。
各社が自由に値付けする仕組みが、そもそも存在しない。
だから「A社の地震保険は割高」という状態は、制度上起こらない。
会社ごとに差がつく火災保険とは、作りが根本から違う。
実際、どれくらいの人が付けているのか
火災保険に地震保険を付けた割合は、2024年度で70.4%だった。
迷う人が多い割に、結論としては7割が付けている。
どこで入っても同じ、という事実はむしろ気楽な材料になる。
会社選びで止まっていた時間を、内容の確認に回せる。
では、火災保険のほうは何を比べるのか
「比べるなら火災保険」と書いたので、見るところも書いておく。
難しい比較表は要らない。見るのは3つでいい。
- 水災を付けるか(ハザードマップで浸水の想定を見て決める)
- 破損汚損を付けるか(うっかり壊した時の補償)
- 免責金額をいくらにするか(自己負担の線。上げれば保険料は下がる)
この3つの組み合わせで、保険料はかなり変わる。
ランキングの順位より、自分の家に何が要るかが先になる。
大地震のときは、会社の枠を超えて動く
「対応の差」を心配する人に、知っておいてほしいことがある。
大きな地震では、業界全体で対応が組まれる。
過去の大地震では、航空写真で地域ごとに全損を認定した例がある。
査定を簡素化して、支払いを早めるための対応だ。
地震保険は国が関わる共同の制度なので、
大災害のときほど、会社ごとの差は小さくなる方向に働く。
会社で差が出やすいのは、むしろ平時の小さな事故のほうだ。
そしてそれは、火災保険側の話になる。
ランキング記事を、使うならこう使う
ここまで読んで、ランキング記事が全部無駄とは言わない。
使い方を変えれば、材料にはなる。
順位は見ない。見るのは比較表の「項目」のほうだ。
水災の有無、免責金額、家財の額。項目は自分の確認リストに使える。
見分け方も1つ書いておく。
「地震保険料が安い会社」と書いてある記事は、火災保険の話をしている。
制度上ありえない表現なので、そこで記事の精度が分かる。
見積もりを取るとき、用意する4つ
火災保険の見積もりに必要なのは、だいたい次の4つになる。
- 建物の住所
- 建物の構造(木造か、鉄骨・コンクリートか)
- 建てた年
- 家財にいくらかけるか
ネットなら15分ほどで金額が出る。
地震保険の部分は、どの会社で出しても同じ額が出てくる。
それでも決められない人へ、選び方を1本の線にする
ここまで読んでも、どこで入るか迷うかもしれない。
その場合は、自分の性格で決めてしまっていい。
- 相談しながら決めたい → 代理店のある会社
- 自分で決めて手間を減らしたい → ネット完結の会社
- 掛金を最小にしたい → 共済も含めて、保障額と掛金を並べる
どの道を選んでも、地震保険の部分の中身は同じになる。
だから、この選び方で損をすることはない。
後悔しやすいのは、この2パターン
1つ目は、ランキング上位で選んで中身を見ていなかった場合。
台風の日に、水災を外していたことに気づく。
2つ目は、掛金の安さで決めて、保障の中身を後で知った場合。
被災してから、受け取れる額の小ささに気づく。
どちらも、選ぶ前に紙1枚に書き出していれば防げる。
会社名ではなく、補償の中身と金額を並べることになる。
窓口やネットで、確かめることリスト
火災保険を選ぶときの確認は、5つで足りる。
そのまま聞ける形で書いておく。
- 水災を付けた場合と外した場合で、保険料はいくら違うか
- 破損汚損は付いているか
- 免責金額(自己負担の線)はいくらか
- 地震保険の割引を使うには、どの書類が要るか
- 家財の保険金額は、いくらで計算しているか
5つの答えを控えておけば、他社と比べる時もそのまま使える。
口頭で聞いてメモするだけでいい。
よくある疑問に、先に答えておく
乗り換えたら、地震保険はどうなるのか
火災保険を他社に変えると、地震保険もセットで移ることになる。
中身は全社同じなので、移っても条件は変わらない。
気をつけるのは、空白の期間を作らないことだけだ。
新しい契約の開始日と、古い契約の終了日をそろえる。
共済と両方に入ることはできるのか
制度上は、両方に入ること自体はできる。
ただし掛金は二重になるので、得かどうかは別の話だ。
検討するなら、両方の保障額と掛金を紙に並べてからにしたい。
探すのをやめていい、という結論
この記事の結論は、少し拍子抜けするかもしれない。
地震保険については、比較サイトを見る時間はほとんど無駄になる。
その時間を、セットで入る火災保険の中身を読む時間に使うほうがいい。
そちらには、はっきりした差がある。
そして、いま入っている人は証券を1枚開く。
割引の欄を見るだけで、探し続けるより早く答えが出る。
「モノレキ」という名前で、家にある物の買い替え時期と保険を1画面で見るアプリを作っている。
保険証券は写真で残しておける。
割引の欄を確認したくなった時に、探し回らずに開ける。
公開は2026年12月を予定している。まだ完成していない。
地震保険の制度と、保険料が全社共通である仕組みについて。
財務省「地震保険制度の概要」
付帯率(2024年度70.4%)について。
損害保険料率算出機構「地震保険統計速報」
本文の数字は2026年8月23日に上記ページで確認した。
地震保険料控除の対象となる契約について。
国税庁「地震保険料控除」