家財の保険に入っていない人へ。
いま持っている保険で救えるもの

2026年9月

家財の保険に入っていなくて、今さら調べても遅い気がしていないだろうか。
入っていない人は、実はかなり多い。

国の資料では、入らない理由の上位に意外なものが挙がっている。
「加入の機会や勧誘がなかった」が14.2%を占めていた。
選ばなかったのではなく、知らなかっただけの人がいる。

この記事では、まず地震の分は出ないことを正直に書く。
そのうえで、地震以外なら使える保険とカードの付帯保険を扱う。
読めば、入り直さなくても救えるものがあると分かる。

結論は「入り直すかどうかは、そのあとでいい」になる。
先にやるのは、5分ずつの確認だけだ。

木のテーブルに置かれた、無地のクレジットカード数枚と開いた白い封筒。奥にはテレビが普通に置かれている

入っていないのは、あなただけではない

家財に保険をかけているか、すぐに答えられる人は少ない。
そもそも、かけた覚えがない人のほうが多いと思う。

これは意志が弱いとか、備えが足りないという話ではない。
国の調査に、理由が順番まで含めて出ている。

家財の地震保険に入らない理由割合
保険料が高いイメージがあった22.4%
家財は消耗品と考えている20.0%
いざとなれば預金で何とかなる14.6%
加入の機会や勧誘がなかった14.2%
建物と両方だと保険料が高くなる14.2%

財務省の研究会に出された資料の数字だ(2024年の調査・複数回答)。
注目したいのは、4番目の行になる。

つまり、断ったのではなく、話が来なかった人がこれだけいる。
入っていないことを、自分の落ち度だと思わなくていい。

ただ、「家財は消耗品」だけは、数字と合っていない

2番目の「家財は消耗品と考えている」が20.0%あった。
買い直せばいい、という感覚だと思う。

ここだけは、実際のデータと食い違っている。
同じ財務省の資料に、熊本地震の支払い割合が載っている。

熊本地震での支払い(損害の程度別の件数割合) 建物 一部損 72% 家財 36% 半損 58% 薄い=一部損 中間=半損 濃い=全損 半損以上だった割合 建物 28% 家財 64%(2.26倍)
建物が無事に見えても、部屋の中はそうではなかった。

建物で半損以上になったのは28%。家財は64%だった。
資料には「2.26倍」と書かれている。

財務省の資料は、こう結論づけている。
建物に大きな損害が生じなくても、家財には大きな損害が出うる、と。

家が建っていても、中の物は倒れて壊れる。
むしろ壊れやすいのは、建物より部屋の中のほうだった。

「消耗品だから買い直せばいい」の総額が、思ったより大きくなる理由がここにある。

ここは正直に書く。地震の分は、付けていなければ出ない

ここから「いま持っている保険で救える」という話をする。
その前に、救えないほうを先に書いておく。

地震・噴火・津波で壊れた家財は、地震保険を付けていなければ1円も出ない。
火災保険に入っていても出ない。ここに例外はない。

地震が原因で起きた火事も、火災保険からは出ない。
これは制度としてそう決まっている。

だから、この記事を読んで地震の被害まで救えると思わないでほしい
そこは、事前に付けていた人だけの話になる。

地震の分をどうするかは、別の記事にまとめた。
ここから先は、地震以外の話になる。

地震以外なら、話が変わる

家財が壊れる原因は、地震だけではない。
むしろ日常で多いのは、こちらのほうだ。

これらは、いま入っている火災保険で直せる場合がある。
条件は「家財の補償が付いているかどうか」だ。

持ち家でも、家財を外している人は多い

火災保険は、建物と家財を別々に契約する。
建物だけ入って、家財は外している人が実際にいる。

この場合、建物は直せても、中の家電は自己負担になる。
証券の「家財」の欄に金額が入っているかで分かる。

落とした・こぼしたは、別枠になっている

うっかりの事故は「破損汚損」という補償の担当になる。
これは付けている人と、付けていない人に分かれる。

付いていれば、パソコンを落として割った場合も対象になりうる。
くわしくは破損汚損の記事に書いた。

もう1つの見落とし。カードに付いている買い物の保険

ここが、知っているかどうかで差が出るところになる。

クレジットカードには「ショッピング保険」が付いていることがある。
そのカードで買った物が壊れたとき、修理代や購入代金が出る仕組みだ。

火災保険とは別の話なので、家財の保険に入っていなくても使える。
そして、付いていることに気づいていない人が多い。

実際の条件を、2枚のカードで見てみる

条件はカードごとに違う。実例を2つ出す。

項目エポスカードメルカード ゴールド
期間購入日から90日購入から60日
限度額年間50万円年間・1事故300万円
自己負担など3,000円超が対象免責3,000円

どちらも対象外の品物がある。
エポスはスマートフォンやパソコン関連、眼鏡、食品などが外れる。

メルカードゴールドは、1万円以下の商品とスマートフォンなどが外れる。
初期不良も対象外になっている。

メルカリでの購入について、正確なところ

「メルカリで買った物も対象になる」という話を聞くことがある。
ここは、正確に切り分けたほうがいい。

はっきり公表されているのは、メルカードゴールドの場合だ。
メルカリやJCB加盟店での購入品が対象、と公式に書かれている。

一方、それ以外のカードでメルカリの買い物が対象になるかは、
そのカードの規約によって変わる。一律ではない。

中古品かどうかより、「そのカードで払ったか」が条件になっていることが多い。

逆に言うと、ポイントや残高で全額払うと対象から外れることがある。
チャージ済みの残高で払う決済も、同じ理由で外れる場合がある。

ただし、これも規約次第だ。
「たぶん大丈夫」で判断せず、自分のカードの条件を見てほしい。

自分のカードで確認する5つ

カード会社のサイトで「ショッピング保険」を探すと出てくる。
見るのは5つでいい。

  1. そもそも付いているか(付いていないカードも多い)
  2. 期間は何日か(60日や90日が多い)
  3. 自己負担はいくらか(3,000円〜1万円が多い)
  4. 対象外の品物は何か(スマホ・パソコンが外れることがある)
  5. 請求に何が要るか(次の章で書く)

使えるのに使われない、本当の理由

ここまで読んで、「使えるかもしれない」と思った人は多いと思う。
ではなぜ、これまで使われてこなかったのか。

知識が足りなかったからではない。
壊れた日に、思い出せないからだ。

冷蔵庫が止まった朝、人はまず店に行く。
保険証券やカードの規約を開く人は、ほとんどいない。

国の調査でも、地震保険の中身を「よく知っている」人は5.3%だった。
約6割は「名前を見聞きしたことがある程度」と答えている。

情報は世の中に出ている。足りないのは、そこではない。
足りないのは、必要な日にそれを開ける状態のほうだ。

請求には、記録が要る

実際に請求する段になると、必ず同じものを聞かれる。

メルカードゴールドの案内にも、修理見積書の用意と、
破損部分の撮影への協力が必要だと書かれている。

買った日と金額を覚えていないと、ここで止まる。
カード保険は期間が60日や90日なので、探しているうちに切れることもある。

今日できること

壊れる前にやっておくと効くのは、3つだけだ。

  1. 証券の「家財」の欄を見る(金額が入っていれば、家財の補償はある)
  2. カードのショッピング保険の有無を調べる(1枚5分で済む)
  3. 高い家電の買った日・金額・写真を残す(請求で必ず聞かれる)

3つ目は、地震の備えとしても効く。
家財の判定は部屋全体を見るので、何があったかの記録が材料になる。

家族と共有しておくと、二重に効く

災害の日、家に最初に戻るのが自分とは限らない。
記録が家族にも見える状態なら、代わりに動ける。

日常の場面でも同じだ。
子どもがテレビを倒した日、保険のことを思い出すのは親とは限らない。

記録は、持っている人の数だけ思い出す確率が上がる。
ひとりで抱えていると、その人がいない日に働かない。

よくある疑問に、先に答えておく

保険を使うと、保険料は上がるのか

火災保険には、自動車保険のような等級の仕組みは原則ない。
使ったから翌年上がる、という形にはなっていない。

古い家電でも、対象になるのか

火災保険の家財補償は、いま買い直す金額で計算する契約が多い。
この方式なら、古い物でも買い直し額で見てもらえる。

ただし、古さを引いた額で計算する契約もある。
どちらかは証券か保険会社で確認できる。

経年劣化で壊れた場合は

出ない。古くなって動かなくなったものは、事故ではないからだ。
ここはどの保険でも共通になる。

修理代が自己負担額を少し超えるだけの時は

出るのは差額だけになる。
数千円のために書類をそろえるかは、手間との相談だ。

賃貸でも同じ話になるのか

なる。賃貸の火災保険にも家財の補償が入っている。
建物の分は大家の側なので、自分の分は家財だけになる。

くわしくは賃貸の記事に書いた。

入り直すかどうかは、そのあとでいい

この記事は「家財保険に入りましょう」と書くためのものではない。
入る・入らないは、家計を知っている人が決めることだ。

ただ、入っていない人でも、いま持っているものがある。
火災保険の家財の欄と、カードの規約の2つだ。

どちらも、確認するのに5分ずつしかかからない。
そして、確認した記憶は壊れた日には残っていない。

だから、見たことを書いて残す。
やることは、それだけになる。

このサイトについて

「モノレキ」という名前で、家にある物の買い替え時期と保険を1画面で見るアプリを作っている。

買った日と金額と写真を品物ごとに残せる。保険証券も写真で置いておける。家族で分担して登録できるので、自分がいない日にも開ける。

公開は2026年12月を予定している。まだ完成していない。

出典

加入しない理由(2024年調査)と、地震保険の認知度について。
熊本地震の、損害の程度別の支払件数割合について。
財務省、地震保険制度等研究会 第8回 資料6「地震保険の加入促進について」(令和7年5月23日)
同資料の出所は、損害保険料率算出機構の調査(2025年3月)と、日本損害保険協会の資料。

地震保険が火災保険とセットでしか契約できないこと。
また、地震による火災が火災保険の対象外であることについて。
財務省「地震保険制度の概要」

エポスカードのショッピング保険の条件について。
エポスカード「エポスお買物あんしんサービス」

メルカード ゴールドのショッピング保険の条件と、請求時に必要なものについて。
メルカリ ヘルプセンター「ショッピング保険」

本文の数字は2026年8月25日に上記の各ページで確認した。
カードの補償内容は変わることがあるため、必ず自分のカードの規約を確認してほしい。

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